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本文82P ※こちらはB5サイズ、無線綴じ、オンデマンド印刷の本になります。 公式サイト:https://tsubakiya.ink/daats/ ――知的好奇心は宇宙を渡る。 いくつもの異世界を取材し、編纂された異世界食合同誌です。 [掲載内容] TOPICS :異世界食ニュース 巻頭特集:口承と食 FOCUS :異世界の食をテーマにした短めのテキスト ・雪国を渡る旅商人のお供/冥奴 ・あなたは知ってる? ノーチラスわたあめ/もきね ・夢のための素敵な食事/にゃおぽぬ ・異世界の料理の味は/小鳥遊桜 ・食欲に徹することで生存する戦略の可能性/林保彦 ・輝き唄う料理/デッドコピーたこはち JOURNAL :1万文字を超える長編テキスト ・LOVE IS KILLING ME-属天区の天使たち-/まなざし防御服 ・恋の味を食べられると聞いて/瀞昧幹 ・蜉蝣族の最後の食事/Kabao
デーツとは何なのか?
知的好奇心は宇宙を渡る。 深宇宙を探査する第二次ボイジャー計画の旗艦ボイジャー3号は、固有振幅数の異なる宇宙への到達に成功した。多世界を渡る無人機と、PALMSという翻訳機を介し、人々は物理法則の異なる他宇宙間で言葉を交わすことができるようになったのである。時の流れやクオリアさえ異なる外宇宙から無数に届く「言葉たち」は人々を大いに熱狂させた。本誌は、来る多世界交流社会の橋頭堡となるべく、歴史やアート、文化、食、科学、宗教などあらゆる情報を多世界から集め、多世界に発信することを目的としている。
別冊を発刊した意図
此度、惜しまれながらもその活動を停止したボイジャー3号の追悼特別号を企画する。人々が語り継いできた物語が彼を産み出し、彼が語る物語で我々は育った。彼の探査開始を記念して創刊された本誌としても、彼が遺した様々な言葉を改めて後世に/そしてあらゆる世界に届けることが使命であると考える。
特集テーマ
「口承と食」――「口」は物を食べ、言葉を吐き出す器官である。言葉は虚に始まり、世界を振動させる内に増幅され、やがては現実を劇的に変化させる力を持つ。知的・社会的生命体である我々は言葉という灯明によって文明を照らし、文明はその灯りを絶やさぬよう、より効率的に、より多彩に、より安全に、より持続的に、食を人々へ供給し続けてきた。 「何を食べるか」「どう食べるか」「何を食べないか」「なぜ食べないか」。食材と調理にまつわる様々な文化やタブーは、その共同体が「どう生きたか、どう生きるか」に密接に絡みついている。そこに正解や根拠はない。ただ地層のように積み重ねられた無数の判断結果と口承だけがある。だから我々は貝塚を漁るように、人々が食に対して持つ物語を追い求めるのである。